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着物買取の知識。晋(中国)時代の襟や袖、平安時代の宮中行事が由来の言葉

着物買取の専門家は、着物に由来する色々な言葉を知っているものです。その中には、歴史上の権力者にまつわる逸話や、生活に由来している言葉も少なくありません。古い時代に生まれた着物言葉の数々の中で、現代もよく使われている言葉には「領袖」や「衣替え」等があります。

まず、領袖は「各分野の領袖の合意がなされた」等の様に、組織や団体を統率する人物を表現する言葉です。着物買取の現場よりも、政治や経済に関する言葉として使われる言葉でしょう。その由来は晋(中国)の時代の出来事を記した「晋書」の一文です。

晋書に登場する人物の1人に魏舒(ぎじょ)という人物がいます。晋(中国)の初代皇帝、司馬炎の父にあたる司馬昭に仕えた人物です。若い頃は愚鈍な人物と周囲に侮られていましたが、後に頭角を現して出世をします。司馬昭が晋王の位に封ぜられた頃には、司馬昭からとりわけ深く信頼される者となっていました。晋書には、司馬昭が魏舒を評した時に語ったとされる「魏舒堂堂、人之領袖也」という一文が残されています。この評が言葉の由来になったのです。

司馬昭による魏舒の評は「魏舒は見た目に態度にも堂々とした風格がある。人の上に立ち、人々を率いるにふさわしい人物だ」という意味になります。領(襟)も袖も、着物の中で人目につきやすく目立つ部分です。特に襟は首に触れる大切な部分で、引っ張ると着物全体が吊り上げられます。これが元となり、「人の上に立ち、集団を率いる人物」を指す言葉として用いられるようになったのです。

一方、衣替えは日本の皇室が由来であり、平安時代以来行われてきた宮中行事が元になります。当時、中国における風習を参考にして「更衣」という行事が行われていました。旧暦の4月と10月の初めの日、夏装束と冬装束とを入れ替える行事であり、衣服だけでなく手に持つ小物も入れ替えるものです。この行事は、江戸時代になると武家の行事としても定められ、次第に民衆も更衣を行い始めました。

更衣が衣替えと言い換えられた経緯には諸説があり、「宮中で働く女官の名称と同じで紛らわしかった為」もしくは「民間に広まっていく頃に言い換えられた」等と言われています。現在の衣替えは、明治時代に太陽暦を導入した以降のものです。太陽暦の導入に伴って更衣の実施月が変わり、6月と10月との初めの日と定められました。これがやがて世に広く広まり、現在の衣替えの習慣に繋がったのです。

着物買取の豆知識には、この他にも着物に由来する言葉が多くあります。着物買取の専門家が使うものだけでなく、世間一般で着物由来と意識しないまま使われている言葉も少なくありません。着物買取を利用したいと思った時は、業者選びから始める事でしょう。その際、時間に余裕があったら、着物由来の言葉を調べてみると面白いものです。普段使っている言葉が着物に由来するものだったという、意外な発見が楽しめます。

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